ここでは、患者さんの精神的なサポートをおこなう際に役立つ、認定心理士について紹介していきます。
認定心理士になり患者さんの心のケアを
今の時代、多くの人が少なからず不安や悩みを抱えて生活を送っています。
ましてや病気やけがで入院している患者さんとなると、職場復帰への不安、病気に関する悩み、生死にかかわる不安などさまざまです。
それがたとえ軽症だとしても内心はかなりのストレスとなっていることでしょう。そういった患者さんの心のケアをおこなうのも看護師としての役割です。
ですが、「患者さんの気持ちになって看護する」といっても、本当に患者さんの気持ちがわかっているとは限りません。
下手をすると看護師の自己満足、自己解決となってしまうケースも少なくありませんから、そうならないためにも心理学について少しは学んでおく必要があると思います。
心理学に関する資格として、認定心理士があります。心理学の基本的な知識とカウンセリングに関する方法を学べば、日本心理学会より資格が認定されます。資格試験はありませんから、比較的取得しやすい資格です。ただ、認定されるためには、大学などで心理学についての必要な科目を履修する必要があります。ただし、卒業学科は指定されません。
また、これから看護師を目指す看護学生のみなさんならば、看護学科で心理学について科目を履修することで看護師と認定心理士を取得することも可能です。もし、看護師として働いている人が目指すのであれば、通信教育などでも履修できます。
この資格は国家資格ではありませんし、試験がある臨床心理士とは異なり就職が有利になるということはそれほどありませんが、心療内科に勤務する場合などは最低限取得していれば仕事に役立つでしょうし、今後臨床心理士や産業カウンセラーなどになるためのステップとなるでしょう。
また、認定心理士としての知識・カウンセリング技術は、病院以外にも老人ホームなどの施設、児童相談所などで働く場合にも役立ちます。
認定心理士になるには
1.日本心理学会に認定心理士資格申請書を提出
2.書類審査の認定により資格取得
<認定審査申請できる条件>
・大学または大学院において認定心理士に必須となる科目を履修、学科の課程を終了させたもの
・上記のものと同レベルの学力があると認められたもの
<必須となる科目>
科目 | 領域 | 必要な単位 |
---|---|---|
基礎科目 (12単位以上) |
心理学概論 | 4単位以上 |
心理学研究法 | 4単位以上 | |
心理学実験 | 実習-3単位以上 | |
選択科目 (3領域で4単位以上を含む 16単位以上) |
知覚心理学・学習心理学 | 4単位以上 |
生理心理学・比較心理学 | 4単位以上 | |
教育心理学・発達心理学 | 4単位以上 | |
臨床心理学・人格心理学 | 4単位以上 | |
社会心理学・産業心理学 | 4単位以上 | |
その他の科目 (基礎・選択科目で 36単位に達していれば不要) |
心理学関連科目、卒業論文・卒業研究 | 最大4単位 |
総単位数-36単位以上
<認定審査の概要>
認定委員会開催:原則として年6回開催
申請場所:日本心理学会事務局
費用:審査料10,000円、認定料(認定通知を受けた場合)30,000円
<過去5年間の合格率>
実施年度 | 合格率 | 総審査数 | 合格者数 |
---|---|---|---|
平成20年 | 93.5% | 3,882 | 3,632 |
平成21年 | 91.6% | 3,692 | 3,382 |
平成22年 | 88.1% | 3,482 | 3,069 |
平成23年 | 86.4% | 3,557 | 3,074 |
平成24年 ※ | 97.6% | 2,577 | 2,515 |
(※)5回(10月まで)での合格率、判断保留者(225名)を除く